調達計画・実施

ストラテジ系

ストラテジ系 > 大分類7 システム戦略 > 中分類18 システム企画 > 3.調達計画・実施

【目標】
□ 調達計画の策定と調達実施の目的,考え方を修得し,適用する。

(1)調達と調達計画

① 調達の前提

① 調達の前提
開発するシステムの用途,規模,取組方針,前提や制約条件に応じた調達方法を理解する。

調達とは一般的には企業によるモノづくりに必要な材料を購入することをいいますが、広く金銭やサービス、労働力などを購入したり、賃借したり、外部委託したりすることも調達に該当します。何をどのような方法で調達するかは用途や数量、企業としての方針や制約などによって決まります。

② 調達計画

② 調達計画
要件定義を踏まえ,既成の製品又はサービスの購入,組織内部でのシステム開発,外部委託によるシステム開発などから調達方法を選択し,調達の対象,調達の要求事項,調達の条件などを定義して調達計画を策定することを理解する。
用語例 内外作基準,IFB(Invitation For Bids:入札募集)

あるシステムを導入しようとしたとき、まず「どういったシステムが必要か」ということを整理(要件定義)したのち、どのように調達をするかという調達計画を立てます。調達の方法には主に次の3つの方法があります

  1. 既成の製品又はサービスの購入
    欲しいシステムとぴったり合致した既製品があれば、既製品の購入で簡単に導入ができます。
  2. 組織内部でのシステム開発
    既製品で見つからない場合や、企業に技術力があり自社のリソースで開発ができるのであれば、その方が柔軟なカスタマイズができ、より要望に合致したものとなることがあります。
  3. 外部委託によるシステム開発
    既製品がなく、自社での開発が難しい場合は外部の業者にシステムを開発してもらう方法があります。

調達方法の選択と共に、対象や要求事項、条件などを整理したものが調達計画となります。

③ 外部資源の利用

③ 外部資源の利用
システム開発における外部資源活用の妥当性,外部資源活用の方法,特徴を理解する。
用語例 システムインテグレーター,SI事業者,アウトソーシング,SaaS(Software as a Service),ASP ,IDC (Internet Data Center),SOA(Service Oriented Architecture:サービス指向アーキテクチャ)を含むWebサービス,ソフトウェアパッケージの適用,オープンソースソフトウェアの適用,OEM,ODM,ファブレス

調達計画で外部委託をする場合には複数の方法があります。その代表的な方法について理解していきます。

SOA

SOA(Service Oriented Architecture:サービス指向アーキテクチャ)は、大規模なシステムをサービスで切り分け、必要なサービスを呼び出して使用するアーキテクチャです。SOAにおけるサービスとはユーザ目線の機能単位のことで、例えば「在庫管理」や「請求書発行」のような業務で用いる機能のことをいいます。SOAはシステム設計上の設計思想や開発手法を指し、この「サービス」を繋ぎ合わせて大規模なシステムを構築していきます。

SOAで構築されたシステムはWebブラウザを通じて個々のサービスとして提供され、業務効率化に役立つことがあります。

過去問 令和5年秋期 問63

SOAを説明したものはどれか。

ア.企業改革において既存の組織やビジネスルールを抜本的に見直し,業務フロー,管理機構及び情報システムを再構築する手法のこと
イ.企業の経営資源を有効に活用して経営の効率を向上させるために,基幹業務を部門ごとでなく統合的に管理するための業務システムのこと
ウ.発注者とITアウトソーシングサービス提供者との間で,サービスの品質について合意した文書のこと
エ.ビジネスプロセスの構成要素とそれを支援するIT基盤を,ソフトウェア部品であるサービスとして提供するシステムアーキテクチャのこと

解答:エ

「ソフトウェア部品であるサービスとして提供する」といったあたりから、エが正解だとわかります。そのほかの選択肢も重要な用語なのでこの問題を通じて覚えていきます。

ア.企業改革において既存の組織やビジネスルールを抜本的に見直し,業務フロー,管理機構及び情報システムを再構築する手法のこと
→抜本的な見直しを行う手法は、BPR(Business Process Reengineering)といいます。
イ.企業の経営資源を有効に活用して経営の効率を向上させるために,基幹業務を部門ごとでなく統合的に管理するための業務システムのこと
→企業全体の経営資源を統合的に管理するシステムは、ERP(Enterprise Resource Planning)といいます。
ウ.発注者とITアウトソーシングサービス提供者との間で,サービスの品質について合意した文書のこと
→発注した際の合意文書はSLA(Service Level Agreement)といいます。

OEM,ODM,ファブレス

ファブレスとは、生産を行う工場を自社で所有せずに製造業を行う企業のことをいいます。工場(fabrication facility)がない(less)ことからファブレスといいます。

ファブレス企業は製造をファウンドリ企業に委託します。両社の役割は次のようになります。

  • ファブレス企業製品の企画設計、開発
  • ファウンドリ企業製品の製造

このように役割分担することにより、ファブレス企業で高品質な企画・開発を行い、ファウンドリ企業で低コスト・大量生産を行うことができます。iPhoneなどの開発会社であるアップルはファブレス企業の代表として知られています。

関連する紛らわしい用語としては以下のものがあります。

  • OEM(Original Equipment Manufacturer:相手先ブランド名製造)
    他社のブランド名で製品の製造を受託し生産を行う業者を指します。ファウンドリ企業と似たようなものですが、「相手先ブランド名」で売り出すところを重視した用語です。また、ファウンドリ企業は半導体製造企業を指すことが多いですが、OEMは小売用販売用の製造業で、プライベートブランド(トップバリュやセブンプレミアムなど)の製造を行っているところも多いです。
  • ODM(Original Design Manufacturing)
    OEMよりももっと幅広く、製品の設計やマーケティングなど幅広く請け負う業者のことを指します。
  • EMS(Electronics Manufacturing Service:電子機器の受託生産サービス)
    電子機器の組み立てなどを請け負う業者のことを指します。ファウンドリ企業と似たものですが、ファウンドリ企業は半導体産業の業者を指すことが多いです。
  • IDM(Integrated Device Manufacturer:垂直統合型デバイスメーカー)
    自社で製品の企画、設計、製造まで一貫して行い、自社ブランドで販売する企業を指します。インテルはその代表企業です。

過去問 令和5年秋期 問66

半導体メーカーが行っているファウンドリーサービスの説明として,適切なものはどれか。

ア.商号や商標の使用権とともに,一定地域内での商品の独占販売権を与える。
イ.自社で半導体製品の企画,設計から製造までを一貫して行い,それを自社ブランドで販売する。
ウ.製造設備をもたず,半導体製品の企画,設計及び開発を専門に行う。
エ.他社からの製造委託を受けて,半導体製品の製造を行う。

解答:エ

④ システム資産及びソフトウェア資産管理

④ システム資産及びソフトウェア資産管理
調達を適切に行う上で,システム資産及びソフトウェア資産を管理することが有効であ
ることを理解する。
用語例 ソフトウェアのサプライチェーンマネジメント,ライセンス管理,構成管理

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