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※2024/4/17 EVMのみ執筆済み
(3)ツールと技法
EVM
EVM(Earned Value Management)はプロジェクトのコストと進捗状況を分析するための手法です。歴史は古く1960年代のアメリカの国防総省で開発されたとされ、1990年代にかけて発展しPMBOK第2版(2000年発行)ではコスト・マネジメントの技法として言及されて (7.4.2.3) います※1。プロジェクトのコスト(予算)を軸に、進捗状況も読み解く(もちろんコストも)点が特徴となっており、4つの実測値を基に、7つの値を算出して分析します。
4つの実測値
- BAC(Budget at Completion:完成時総予算)
プロジェクトにおける予算の合計です。全期間における総予算の予測値であり、EVの算出の根拠となるため、これを正確に算出できれば計画通りに進む可能性が高まります。逆に見積もりが甘い場合は進捗遅れや予算超過を引き起こします。 - PV(Planned Value:計画値)
ある時点で完了すべき作業の総コストです。例えば6か月のプロジェクトの総予算が3000万円だった場合、1か月目は300万円、2か月目は1300万円(1か月目300万円、2か月目1000万円)などとします。 - EV(Earned Value:出来高)
完了済作業に割り当てられた予算です。例えば1か月目は200万円分の作業を終え、2か月目は1000万円分(1か月目200万円、2か月目800万円)などとします。 - AC(Actual Cost:実コスト)
現在の総コストの実測値です。分析したい時点でかかっている総コストとします。
算出する7つの値
4つの実測値を基に、6つの値を算出します。これらはEVMの公式となっています。
- SV(Schedule Variance:スケジュール差異)
SV=EV−PV
スケジュールが進んでいるか遅れているかを分析します。マイナスの場合は遅れています。 - SPI(Schedule Performance Index:スケジュール効率指数)
SPI=EV/PV
SVと同様に、スケジュールが進んでいるか遅れているかを分析します。SPI < 1の場合は遅れています。 - CV(Cost Variance:コスト差異)
CV=EV−AC
コスト(予算)について分析します。マイナスの場合は予算超過(お金の使い過ぎ)です。 - CPI(Cost Performance Index:コスト効率指数)
CPI=EV/AC
SPIと同様に、コスト(予算)について分析します。CPI < 1の場合は予算超過(お金の使い過ぎ)です。 - ETC(Estimate To Completion:残作業コスト予測)
ETC=(BACーEV)/CPI
現時点で完成までに残っている作業の予算コストを算出します。プロジェクトのこれまでの実績を基に「あといくら必要か」を算出しています。 - EAC(Estimate At Completion:完了時コスト予測)
EAC=AC+ETC
現時点でのプロジェクト完了時の総予算を算出します。これまで使った予算とETCの値(あといくら必要か)を足すことで、プロジェクトのこれまでの実績を基にした「全体でどのくらいの予算で終わるか」を算出しています。 - VAC(Variance At Completion:完了時コスト差異)
現時点でのプロジェクト完了時の予算の見積もりとの差異を算出します。
覚える用語や公式が多く難解なので後回しにしがちですが、応用情報技術者試験では午前・午後どちらでも繰り返し問われており、それらは公式を知らないと全く歯が立たない問題ばかりです。1度覚えたつもりでも時間がたつと忘れて覚え直しが必要なことが多いのでなるべく早めに覚えて何度か立ち返って本番で思い出せるようにしておく必要があります。直前期に全く知らない場合は捨てた方が良いでしょう。他を覚えた方が効率的です。